幕府中心の時代に終止符を打つため、時代の波を起こしていった坂本龍馬は多くの名言を残しています。
動乱の時代に生きた彼だからこそ言える血の通った言葉の数々。今回はその言葉の中からほんの一部ですが紹介したいと思います。
義理などは夢にも思うことなかれ 身をしばらるるものなり
戦国時代の武将たちでさえ、恩や義理に縛られていたと言います。江戸時代に入ると特に儒教の教えが浸透していた時代です。
儒教では「義理」というものを重んじるのだそうです。それにもかかわらず、義理は身を縛られるものだから夢にも思うなといった坂本龍馬。恐らくそのくらいの気持ちでいなければ倒幕は実現できなかったのでしょう。
義理や人情も大切ですが、そればかりに捕らわれていては自分を見失ってしまいますからね。
恥といふことを打ち捨てて 世のことは成るべし
続きです。「恥」には他人の目から受ける恥と自分自身で恥じることの二種類があります。
日本人は「恥の文化」とも言われますが、そういった世間からの目を気にしたり、自分自身を恥じていては世の中を動かすことはできないということなのでしょう。
自分の理想を成すためには、それを気にしている場合ではないということですね。
日本を今一度 せんたくいたし候
これは有名な言葉ですね。聞いたことがある人も多いと思います。これは龍馬が姉の乙女に送った手紙の中の一節です。原文を読んでみたのですが、その前後の内容はこんな感じです。
日本は6回の戦いをしているが利益はなく、姦吏(こころのよこしまな役人)が外国人と内通していました。
相手は軍勢は多く、龍馬は大名たちとの結束を固め、同志を募って日本を守るという志のもと、内通していた姦吏を打ち倒し、日本という国を今一度洗濯し幕府を倒して革命を起こします。
私が意訳してしまったので変なところもあるかもしれませんが、内容は大体こんな感じです。
名誉や恥・義理人情もうち捨てて坂本龍馬がやりたいことが、この言葉に集約されていると思います。
世界の海援隊でもやりますかな
どこまでもスケールが大きいというか……。これは明治政府に誘われても入ろうとしない坂本龍馬に「では政府に入らず何をするのか」と聞いたところ、龍馬こう答えたと言われています。
日本の改革が終わったから次は世界ということなのでしょうか。声に出して読んでみると結構ニュアンスが軽いですよね。おそらく政府の役人というものには興味がなかったのでしょうね。
龍馬なりのユーモアなのかもしれませんが、この次は世界をせんたくいたし候と思っていたのかもしれません。
万事、見にゃわからん
これは現場主義な一言です。百聞は一見に如かずとも言いますし、いくら人から話を聞いても自分で実際に見てみなければ、わからないというのは真理だと思います。
人からの伝聞には少なからず、その人の見方というものがありますから主観が反映されてしまいます。世の中を変えようと思ったら、自分の目で確かめた方が良いのかもしれません。
俺は議論はしない、議論に勝っても、人の生き方は変えられぬ
龍馬は影響力が強い人間だと思うのですが、この時代の人は皆それぞれに理想があったのでしょうね。例えば坂本龍馬が新撰組に議論で勝ったとしても、新撰組が龍馬と同じ倒幕派になることはなかったでしょう。
議論して勝ったとしても、人の心まで変えることはできません。そんな議論をしているよりは、今できることを見つけて動いた方が良いということなのでしょう。
時勢は利によって動くものだ。議論によっては動かぬ
議論ばかりしていても時を逃せば、やり直しになってしまうことがあります。
有利な状況であったり、勝ち目があることで時勢は動くのだから、議論ばかりしていても仕方がないということなのでしょう。1分先がどうなるかわからない時代だったからこそ、余計にそうだったのかもしれません。
まあ、現代でもそう思うことは沢山あります。どんなに話し合っても良い方向に進まない人達もいますからね。
人の世に失敗ちゅうことは、ありゃせんぞ
これは子供たちによく話す言葉です。「失敗を考えていたら何もできないよ、無駄なことなんかないよ」という感じで….。
この言葉は失敗から学び、次にどうするかと考えられる人にとっての話であり、何も学ぼうとしない人にとって、失敗は失敗なのかもしれません。
思い通りにいかなくても、そこから学んで次に生かせるなら失敗はないのかもしれませんね。
慎重もええが、思いきったところがなきゃいかん。慎重は下僚の美徳じゃ。大胆は大将の美徳じゃ。
慎重になってばかりではなく思いきってやる勇気がなければいけないということでしょうか。大将が慎重になりすぎていては、何も動きませんものね。思いきりのない人間には対象は務まらないということです。
暗ければ、民はついて来ぬ
先行きが暗ければ、そんな政策に民衆がついてくるわけはありません。明るい未来を思い描くからこそ、苦しくても頑張れるものです。
いかがだったでしょうか?龍馬が残した言葉を一部ご紹介しました。龍馬が残した言葉は、現代にも沢山通じるところがありますよね。
また、こんな現代だからこそ、現代に坂本龍馬が生きていたらどう思うのだろうと考えてしまいます。
思わず「きっと何かしてくれたはず!」と期待を寄せてしまうところが、坂本龍馬が今でも英雄として語られる所以なのでしょうか。